「半殺しじゃなくて、皆殺し。」
忰熊さんは、そう言います。
もちろん、ごまの話です。
金胡麻焙煎所の「金すりごま」には、
そんな少し物騒な名前の物語があります。
最初は、本当に「皆殺し」でした。
金ごま本舗が、まだ金ごまの専門メーカーになる前のこと。
白ごまと金ごまを組み合わせた、
「半殺しのごま」という商品をつくりました。
コーヒーにブレンドがあるように、
ごまにもブレンドがあっていい。
そんな発想から生まれた、合わせごまです。
そして、さらに「皆殺し」も登場しました。
ごまの粒を残さず、
油分がにじむほど、しっかりする。
その名のとおりの、しっとりしたすりごまです。
ところが。
商品そのものは評価されても、
名前が少々、物騒すぎました。
「もう少し優しい名前にしてくれると採用します。」
そう言われて、
「半殺し」は「合わせごま」に。
「皆殺し」は「超しっとりすりごま」に。
名前を変えることになりました。
さらさらのほうが、いいのだろうか。
それから年月が経ち、
忰熊さんは、また悩みます。
しっとりしたすりごまより、
さらさらしたすりごまのほうが、
使いやすいのではないか。
実際に8分すりの金ごますりごまをつくると、
売れ行きも悪くありません。
いっそ、全部さらさらタイプにしようか。
そこで、社員の皆さんに聞いてみました。
返ってきたのは、
「金ごま本舗は半殺しでなく皆殺しだ!」
という言葉でした。
皆が大切にしているものが同じだったことに、
忰熊さんは胸が熱くなったそうです。
それでも、皆殺し。
ごまを、する。
さらさらだった粒が、
細かくなり、しっとりとまとまっていく。
粒を残す楽しさもあります。
さらさらしたすりごまの、よさもあります。
けれど、金ごま本舗には、
どうしても手放せないすりごまがありました。
忰熊さんは、当時のブログに書いています。
「葛藤は今なお続いています。」
それから約9年。
金胡麻焙煎所には、今も
しっとりした「金すりごま」が並んでいます。
